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学校法人 滋慶学園グループの顧問・松原英夫氏から、論文をお送りいただきました!


 滋慶学園グループは、東京コミュニケーションアート専門学校をはじめ、北は北海道から、南は九州の福岡まで、全国に75の専門学校を展開しており、加来は、グループの名誉教育顧問を務めさせていただいております。

 その滋慶学園グループの顧問を務めておられる松原英夫氏より、この度、「里山の衰退とシカの脅威について ―価値ある資料の有効活用に向け―」という論文をお送りいただきました。
 松原氏は以前、産経新聞で編集委員をされておられ、滋慶学園の顧問を務められる一方で、大阪経済法科大学21世紀社会総合研究センターの客員教授をされており、『大阪経済法科大学21世紀研究 第9号』に論文が掲載されました。

 今日、日本の里山は崩壊の危機に瀕しており、山で仕事をする人も年々減少しています。しかし、それらと反比例するかのように活発化しているのが、シカやイノシシといった動物たちの活動だといいます。山から下りて山村地域に向かい、さらには、農村地域の耕作地も荒らし、今や、都市にまで出現するようになっています。そういえば、少し前にも、北海道北見市中心部の駅前・高校・住宅地付近で、野生のシカの群れが相次いで目撃された、というニュースが報道されておりました。

 論文で、松原氏はまず、シカの増加と被害について述べ、次に、その実態を戦後の社会変化とともに論じ、終盤では、食料としてのシカを、価値ある資源として利用することについて言及されております。

 論文中で、私が最も印象的だった言葉は「狩ガール」です。「山ガール」という言葉は流行して久しいですが、「狩ガール」や「狩猟女子」という表現は初めて耳にしました。シカやイノシシが、人間の捕獲力では追い付けないスピードで増加している中、その解決の糸口ともなり得る存在が、彼女たちだといいます。
 数年前から、女性ハンターが増え、狩猟免許を取得する女性たちが10年間で倍増しているそうで、野生動物による農作物被害の拡大を知って、社会貢献したいという動機から免許を取った方もおられるようです。
 また、大学では「ハンティングサークル」や「狩猟サークル」なども見受けられ、高校の総合学習の授業では、シカやイノシシによる被害や、ジビエ(狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣)の料理について学ぶという事例もあったそうです。
 「狩ガール」「狩猟女子」が、将来的にはシカやイノシシによる農業被害の抑制と、ジビエ利用の拡大を同時に実現するリーダーになるのではないかと考える、と松原氏は論じておられました。

 高校から文系選択で、大学でも史学を専攻していた私にとっては、ほとんど触れたことのない分野の論文でしたので、興味深く拝読させていただきました。掲載誌をお送りくださいまして、誠にありがとうございました。

(平成30年7月30日 加来耕三事務所 岡本あゆ美)

 

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